写真で辿る南アルプス全山縦走

真狩 保


 梅雨が明けた2006年7月31日の午後、夜叉神峠登山口に降り立った。南アルプスは、仙丈ヶ岳を除いて40年ぶりである。紫岳ニュースなどを見て、定年になったら、昔歩いたルートを辿り、南アルプス全山縦走したいと考えてきた。
縦走など時間的に余裕がなく行けない方がほとんどでしょうから、伊藤英利さんにご無理をお願いし、できるだけ多くの写真を掲載しましたので、ご覧ください。

 第1日目(晴)
夜叉神峠登山口15:27→夜叉神峠テント指定地16:24


 夜叉神峠登山口に着いた。昔は、砂利の広場にバス停の標識がポツンと立っていただけの所だったような気もするのだが、記憶が定かでない。


 夜叉神峠小屋。その横にテント場がある。水は1リットル100円なり。打上げ花火をしていた小屋泊まりの人達も、夜の8時前には静かになる。


 第2日目(晴)

夜叉神峠テント指定地4:26→杖立峠5:36→南御室小屋7:20→薬師岳8:39→観音岳9:10→赤抜沢ノ頭10:07→高嶺10:49→早川尾根テント指定地13:01


 夜半、雨音がしていたので、雨具を着てテントを出るが、晴れてきた。杖立峠付近から白峰三山(左から農鳥岳、間ノ岳、北岳)が、はじめて眺められた。間ノ岳は、この後も、気流の関係かガスっていることが多かった。


 南御室小屋を過ぎ、森林限界を越えた地点から薬師岳(右)と観音岳(左)を見上げる。昔の記憶どおりの、白い砂と花崗岩の美しい鳳凰三山だ。


 観音岳から地蔵岳を見る。


 赤抜沢ノ頭から地蔵岳を見る。この特徴のあるオベリスクは、この後も仙丈ヶ岳や北岳からもよく眺められた。

 失敗談その1:岩道を調子に乗ってトントンと下っているとき、足を引っかけるかして転倒してしまった。危ない箇所では、足だけではなく手も添えてやる2点確保が必要だと痛感した。それと、体勢を持ち直したと思ったのに、けっきょく、リックに振られてしまったので、重いものは、頭の上ではなく肩あたりに入れてはどうかとも思った。 


 鳳凰三山にしか咲いていないと教えてもらったタカネビランジ。


  高嶺から明日登る予定の甲斐駒ヶ岳を眺める。左はアサヨ峰。


 早川尾根テント指定地。山行を計画するとき、「山と渓谷社」のアルペンガイドのコースタイムなどを参考に一日の行程を立てる。それによると、本日の行程は、10時間40分と長丁場なので、汗をかくほど飛ばしたことにもよるが、休憩を含めて予定より2時間ほど早く着けた。今後は、マイペースで歩けば計画どおり行けることが分かり、気分的に楽になった。


 第3日目(晴)

早川尾根テント指定地4:32→ミヨシノ頭5:55→アサヨ峰6:43→栗沢山7:46→仙水峠8:49→甲斐駒ヶ岳10:38→仙水峠12:31→北沢峠テント指定地13:40


 ミヨシノ頭付近から北岳を眺める。


 アサヨ峰から明日登る予定の仙丈ヶ岳を眺める。


 栗沢山から甲斐駒ヶ岳を眺める。


 岩のゴロゴロした仙水峠は、昔の記憶どおりだ。峠にリックを置き、甲斐駒ヶ岳をピストンする。


 駒津峰から甲斐駒ヶ岳への直登ルート。頂上はもうすぐだ。


 北沢長衛小屋とテント場。その昔、自分たちの他に人はなく、石のゴロゴロした広い河原で焚火を囲んだ友は、どうしているのだろうか。

 失敗談その2:翌朝、朝食を作りながら後ろを向いて寝袋を畳んでいるときに、尻でガスボンベを倒してしまい、テントの内張を焦がしてしまった。やむを得ずテント内で火を使うときは、専念することを再確認させられた。2度あることは3度あらず?で、この後は順調でした。

 

 第4日目(晴)

北沢峠テント指定地4:30→大滝ノ頭五合目6:25→小仙丈ヶ岳7:23→仙丈ヶ岳8:22→伊那荒倉岳10:57→野呂川越12:29→野呂川両俣テント指定地13:09 


 小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳を見上げる。


 小仙丈ヶ岳から、北岳、間ノ岳、塩見岳とつづく南アルプスの山々を遠望する。


 仙丈ヶ岳から大仙丈ヶ岳と展望のない樹林帯の中を延々と下る仙塩尾根を見下ろす。昔、バカ尾根などと言っていたが、今はどうだろうか。


 野呂川両俣小屋に意外に早く着く。小屋の人から、左俣大滝までのルートが、昨年の台風で荒れていると聞いたので、調べに出かける。9箇所の徒渉箇所も靴を履いたまま渡れそうだ。


 第5日目(晴)

野呂川両俣テント指定地4:32→左俣大滝5:42→中白峰沢ノ頭7:30→北岳8:51→北岳山荘9:45→間ノ岳11:29→三国平への分岐点12:20→農鳥岳13:20→三国平への分岐点14:13→三国平16:00→熊ノ平テント指定地16:35


 中白峰沢ノ頭へ、ハイマツの茂る急な斜面を直登しながら、昔、北岳の登りでしんどかった所はここだなと思った。展望の開けた中白峰沢ノ頭から間ノ岳を見上げる。遠くに塩見岳も見える。(北岳は逆光で撮れず。)


 もうすぐ北岳山頂だ。


 北岳山頂は人で混み合っていて、中高年がそのうちの8割以上を占めていた。なかでも、おばちゃんが元気で中高年の7割方は女性だったような印象がある。


 北岳山頂から間ノ岳と農鳥岳を眺める。


 北岳に咲いていたチシマギキョウ。(図鑑で調べたので、間違っているかもしれない。)


 北岳小屋付近から見た間ノ岳への登り。


 半分ほど登ったところの中白根山から見た間ノ岳。


 尾根から右に下っている三国平に抜ける道の分岐点にリックを置き、農鳥岳をピストンする。赤い屋根が農鳥小屋。


 農鳥岳山頂。午後になるといつもガスってきて眺望はない。


 三国平への間ノ岳をトラバースするルートから、来た道を振り返る。中間点の水場で休んでいるとき、周りの景色を見ていて、この場所で休んでいた40年前の自分を、はっきりと思い出した。このルートは、スケールが大きく、なりより人がいないので、南アルプスの中でも好きな所だ。


 第6日目(晴)

熊ノ平テント指定地4:15→竜尾見晴5:38→北荒川岳6:40→塩見岳8:58→本谷山11:45→三伏峠テント指定地12:46


 竜尾見晴付近から塩見岳を遠望する。塩見岳へは、昔、農鳥岳からいったん谷へ下り、登り返したような記憶もあるのだが、はっきりとしない。


 塩見岳がだんだん近づいてきた。


 塩見岳山頂から明日登る予定の荒川岳を眺める。


 塩見岳山頂からこれまで歩いてきた左から農鳥岳、間ノ岳、仙丈ヶ岳などを振り返る。


 本谷山の下りから、三伏峠小屋が見えた。


 第7日目(晴)

三伏峠テント指定地4:04→前小河内岳4:50→小河内岳6:18→高山裏避難小屋8:47→荒川前岳から荒川小屋へ下る分岐点11:50→悪沢岳12:36→分岐点13:34→荒川小屋テント指定地14:30


 今日は日曜日の朝ということもあって、ピストン組だろうか、2時過ぎに起床し、3時過ぎにヘットライトを付けて出発する人達がいた。つられて、私も早めに出発する。4時45分頃にはヘットライトはいらなくなるし、5時過ぎには日出なので、この時間帯なら十分に歩ける。夜が明けた前小河内岳から烏帽子岳(左)、荒川岳(中央)、小河内岳(右)を眺める。


 小河内岳とメルヘンチックな赤い屋根の小河内岳避難小屋。


 小河内岳から荒川岳を眺める。遠くに赤石岳と聖岳も見える。


 高山裏避難小屋。


 昔、「今からあれを登るの。」とたじろいた荒川岳への急な登り。


 まだまだつづく荒川岳への登り。単独行の場合、登りは、息が上がればペースダウンすればよいし、疲れたら休めばよいので何とかなる。


 荒川中岳の下りより、これからピストンしようとする悪沢岳を見上げる。雷が心配なので雨具だけは持っていくことにする。飛ばしたので、意外に早く悪沢岳山頂に着いた。それにしても、午後の雷雨のある時間帯に、山の経験が少なそうな高齢者が、3000m級の尾根筋を歩いているのが気にかかった。それだけ避難小屋が整備されたということか。


 荒川岳から荒川小屋への下りに咲いていた花々。


 荒川小屋が見えてきた。他人から見れば何でもない風景だが、これは昔、確かに見たことがあると思う所がある。例えば、この荒川岳のなかなか下に着かない砂利の斜面から、見えつづける右尾根の露岩壁面とか、小河内岳から高山裏へのルート中、ずっと見えている小日影山の崩壊した斜面などである。


 第8日目(晴)

荒川小屋テント指定地4:25→大聖寺平4:52→赤石岳6:28→百間洞山の家8:28→中盛丸山8:51→兎岳11:25→聖岳13:12→聖平テント指定地15:34


 小赤石岳の肩から小赤石岳と赤石岳を見上げる。


 小赤石岳から赤石岳を見上げる。山頂の左下に赤石岳避難小屋が少し見える。


 赤石岳から、これから登る聖岳を眺める。私は、大海原の波頭のように、山々が累々と重なっているのが見える赤石岳からの眺めが、南アルプスのなかでも一番好きだ。今日は残念ながら霞んでいた。


 赤石岳の下りから百間洞と中盛丸山を見下ろす。


 中盛丸山。「大盛めし山まであと一本。がんばれ!」という先輩の声が聞こえてきそうだ。


 兎岳から聖岳を見上げる。


 聖岳山頂まであと一息だ。


 聖岳山頂。午後はいつもガスるのに、今日は展望が効く。背後に今日登ってきた赤石岳が見える。


 「南アルプス全山縦走も、明日がいよいよ最終日だ。」と思いながら、山頂から、上河内岳、茶臼岳、仁田岳の峰々と遠くに横たわる光岳を眺める。鞍部に小さく見える赤い屋根が、聖平小屋だ。


 第9日目(雨)

聖平テント指定地4:27→上河内岳6:20→茶臼岳8:10→光小屋12:30→光岳12:48→百俣沢ノ頭13:40→光岳登山口から5分ほど上流にある柴沢小屋16:50


 出発してからすぐに雨が降り出し、茶臼岳も展望なし。途中で出会った登山者に、「今晩、紀伊半島に台風が上陸する。」と聞く。縦走の後半は、NHK第1ラジオの飯田放送局621KHzの天気予報を聞いていたのだが、昨夕は、高校野球で時間帯が変わり大事な部分を聞きそびれた。


 小雨降る仁田池。


 昔、ここは登ったことがあると思いながら、三吉平からの長い涸れた沢筋を登りつめ、やっと静高平に着く。この横に水場があり、チョロチョロ流れていた。


 光岳山頂に着いた。小屋の主人のアドバイスを受け、台風の大雨でも凌げる登山口の避難小屋まで下ることにした。登りと違い、下りは、オーバーペースになるのだろう、途中で足が棒になり、じわりじわりと下る。


 第10日目(曇)

柴沢小屋5:05→展望台付近12:00→寸又峡温泉のゲート15:25


 雨具を着て小屋を出るが、途中で雨は上がる。どうやら心配していた台風は逸れたらしい。


 昔歩いた、枕木がどこまでもつづく炎天下の森林軌道ではなく、南アルプス全山縦走の締めくくりとして、雨の上った長い長い砂利道を辿ろうとしているのは、青春時代の夢の続きを歩もうとしているのかもしれない。


 付録。
   1日の食糧は下記のとおり。ドライフードを使い始めて2回目の縦走のため、量的にはこれでよかったが、内容は試行錯誤中。
   朝   食 : レガードライフーズ1袋
   行 動 食 : アサヒフードアンドヘルスケア鰍フバランスアップ食品2袋、カロリーメイト2袋、プルーン2ヶ、ピーナッツチョコ2ヶ、サラミソーセージ2ヶ、甘納豆1ヶ、ブドウ糖1ヶ
   夕   食 : アルファ米1/2袋(1人前)、山岳グルメ1袋、クノールのカップスープ1袋、他にスライスニンニク
   医療品等 : 栄養機能食品(鉄分等)2粒、医薬品のアリナミンA(ビタミンB1)3粒とカルシュウム剤2粒

更新:2006/Aug/23 23:39